犬のパルボウイルス性腸炎を知る
激しい嘔吐と下痢が出る病気
パルボウイルス性腸炎の症状
パルボウイルスの感染には離乳期以降の犬がかかる「腸炎型」と生後3~9週目の犬のかかる「心筋炎型」の2つの病気の形があります。
この二つの型のうち広く発生するのは腸炎型です。
パルボウイルス性腸炎は発病するとわずか1~2日で死亡することの多い恐ろしい病気です。
しかしワクチン接種さえ行えば予防の出来る病気です。
症状は最初に激しく嘔吐し、6時間後以降にはたびたび下痢をするようになります。
この下痢は初めは灰白色、黄灰白色の下痢をしますが、だんだんと、どろどろとした粘液状の便になります。
症状の重い場合には血液が混じり、ひどい悪臭がします。
また、嘔吐と下痢の為に脱水症状が現れ、体が衰弱し、ショック症状に陥ることもあります。
パルボウイルス性腸炎の原因
犬パルボウイルスに感染することにより発病します。
このウイルスは、犬の口や鼻から体内へ侵入します。感染している犬のくしゃみや、ウイルスが付着した食べ物などから感染します。
パルボウイルスは動物の体の中の細胞分裂の激しい組織に住みつくやすく、その感染先のひとつが腸なのです。
パルボウイルス性腸炎は、生後2~3ヶ月を過ぎるとどの年齢の犬も感染する恐れがありますが、特に母親から受け継いだ抗体が消える10~12周目の幼犬に多く見られます。
治療が遅れると、下痢や嘔吐が見られてから1~2日で90%以上が死亡します。
成犬でも25%が死亡する怖い病気です。
パルボウイルス性腸炎の予防・診断・治療
診断
下痢や嘔吐はほかの感染症にも見られますが、パルボウイルス性腸炎では、嘔吐から始まり下痢が見られるという特徴と、トマトジュースのような下痢気味の症状から診断することが出来ます。
また最近ではパルボウイルスの検査が短時間で容易にできる抗原検出用キットが利用できるようになりました。
治療
ほかの犬に感染をしないように隔離を行い、集中治療を行います。
しかしパルボウイルスに効くこれといった薬がないのが現状です。
そこで、輸液や酸素吸入などにより、脱水症状やショック症状からの回復に努めます。
その他に弱った体が二次感染を起こさないように抗生物質の投与を行います。
こうした治療により3~4日生存した犬は、速やかに回復します。
また予防としてはワクチン接種を行うことで予防が可能となります。